建築こぼれ話 第5話 ~木のいのち、木のこころ~

壁にぶち当たって、悩んでじたばたしていると、ふと助けてくれる人が現れる。そんなお話しの第5話。

木の持つ良さを、気持ちの良さに      

La Luz Inc. 公式ページより

なんとも、素敵なブランドコピーじゃないですか。


「木の持つ良さ」ってなんだろう?
私は、その個性にあるんじゃないかって思う。個性。
人間とおなじで、ひとりひとり顔や性格が違うように、木も一本一本、木目や性質が異なるってこと。

釘も入っていかない硬い木もあれば、カッターでサクッと削れるような柔らかい木もある。
白っぽい木もあれば、焦げ茶色もあるし、赤っぽいのもある。
香りがいいのやら、節があるのやら、手触りが良かったり、水に強かったり、腐りにくかったり。
その種類が違えば、その性質は異なるもの。
そう思っていた。


ところが、相田さんは同じ木であっても、育った環境によって性質が異なるという。
「育った環境?」
思わず山崎まさよし作詞作曲、SMAP歌の「セロリ」を思い出した。

出典:La Luz.inc 公式サイトより引用  多様な材木によるモザイク壁

山の南側で育った木と、山の北側で育った木とでは、材木になっても性格が違うんだって。
太陽を燦々と浴びて育った山の南側斜面の木は、伐り出すと暴れる(反ったりねじれたり割れたりすること)けど、北川斜面の木は素直なんだそうな。

ラ・ルースでは、丸太をカットして板状にしてから、約半年かけて天日乾燥させる。
この間に水分が抜けると同時に、暴れるだけ暴れさせるもんだから、その後に狂いが生じない。
だから、使いやすい。

丸太を板状に切り出し乾燥させる。こうして半年もすれば、いよいよ加工というわけだ。

そう聞いて、思い出した。同じような話しを、読んだことがある。
あの京都法隆寺の専属宮大工、西岡常一棟梁の”木のいのち、木のこころ”だ。

数多くの名言を残しているけど、なかにこんな言葉がある。

再建された薬師寺西塔。 現存する東塔を参考に西岡棟梁が指揮した。
塔組みは木組み。 
 木組みは木の癖組み。
  木の癖組みは人組み。
   人組みは人の癖組み。

お寺にある五重塔などの塔はとても背が高い。その高い建物が1000年倒れず保つためには、しっかりと木を組み合さねばいけない。

木は山のどの辺に生えていたか、どっちの面が南向きだったかで反り方が違うから、その木の癖を見極めて組まねばならない。

そしてそれを組み上げる大工たちが、それぞれの力を出し切らねばならない。そのためには大工の性格(癖)を知り組み合わせなければ、棟梁として資格がない。

そんなことだったと思う。

木の持つ良さ、を引き出してあげるには、その木についてよく知らねばならない。
人の持つ良さ、を引き出してあげるには、その人についてよく知らねばならない。

オクツP

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